- 2020.06.15 研究・調査
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昨年との比較におけるゴールデンウィークの FiNC ユーザーの生活変化
2020 年 5 月 22 日
事業基盤本部 ライフサイエンス部
プラットフォーム本部 運営推進部 データ分析グループ
背景
FiNC アプリユーザーにおける歩数の推移は、3 月以降、継続して前年よりも減少傾向がみられている。そこで今回、アプリにて定期的なライフログの記録を行っているユーザーの活動量(歩数)や摂取カロリーについて、2019 年と 2020 年のゴールデンウィーク(以下、GW)の状況を比較した。
1)歩数
◼︎方法
対象者：以下の条件を満たした FiNC アプリユーザーから抽出した 64,115 人とした。
<対象者条件>
・ 2020 年 5 月 8 日時点のアプリユーザーであり、2020 年 5 月 6 日に 1 回以上にログイ ンした人
・以下の期間における日程すべてで歩数を記録されており、かつ歩数が 1 歩以上 10 万歩 以下であった人
①2019年GW：2019年5月2日(木)~5月6日(月)
②2020年GW:2020年5月2日(土)~5月6日(日)
分析方法：12の期間の 5 日間歩数総計および 1 日当たりの平均値を算出し、比較を行った。
統計解析は対応のある t 検定を用い、統計学的有意水準は 5%未満とした。
図1 対象者の内訳(性別)
表1 対象者の内訳(年代別)
◼︎結果
対象者における2019年GW期間の平均歩数は 5,506歩、2020年 GW期間の平均歩数3,935歩であった。両者を比較すると、1日当たり平均 1,571 歩程度(2019年の平均歩数の28.5%相当)の減少がみられた。(t=-112.5,p=0.000) これらは 5 日間総歩数に 換算すると約 8,000 歩に及ぶ。
また、2019 年と比べ 2020 年の GW に歩数が減った人は 73%を占めていた。特に 2020 年は歩数の少なさが目立ち、平均歩数 3,000 歩以下の人の割合は、2019 年 GW は 4 分の 1 程度であったのに対し、2020 年GWでは半数以上を占めていた。
図2 GWの1日当たりの平均歩数の比較(***:p<0.001)
表2 平均歩数の差と活動量への換算
図3 歩数の変化内訳
表3 対象者の分布
◼︎考察
GW 期間中の歩数には一日当たりで前年比-28%に相当する平均 1,571 歩の減少が見られた。これらの差を歩行距離に換算すると、一日当たり 1.1km 相当(※歩幅 70 cmの人の場合)、予測消費カロリーは約 35kcal 程度(※体重60kgの人の場合)に換算される。これらの減少は、新型コロナウィルス感染症や緊急事態宣言を受け、人々の外出自粛の影響が反映した結果であったと考えられる。
<参考>
図4 歩数(日次平均)の推移
2) 摂取カロリー
◼︎方法
対象者：以下の条件を満たした FiNC アプリユーザーから抽出した 1,936 人とした。
<対象者条件>
2020 年 5 月 21 日時点のアプリユーザーであり、以下のそれぞれの期間において、各期間と も 2 日以上食事の記録をしていた人
①2019年GW:2019年5月2日(木)~5月6日(月)
②2020年GW:2020年5月2日(土)~5月6日(日)
分析方法：①②の各ユーザーの 1 日当たり平均摂取カロリーより、両期間の全体平均摂取カロリ ーを算出した。統計解析は対応のあるt検定を用い、統計学的有意水準は 5%未満とした。
図5 対象者の内訳(性別)
◼︎結果
対象者における 2019 年 GW 期間の 1 日当たりの平均摂取カロリー(kcal)は 1,750kcal、2020 年 GW 期間は 1,723kcal であり、ほぼ横ばいであった。(t=3.147,p=0.002)
表4 GW における 1 日当たりの平均摂取カロリー(kcal)の比較 (**:p<0.01)
表5 対象者の分布(年代別)
◼︎考察
2020 年の GW は、社会的な外出自粛の影響により、在宅にて間食回数が増えてしまう可能性や、反対に外食が減ることで摂取カロリーが抑えられる可能性などが考えられたが、摂取カロリーに大きな変化はみられなかった。本対象者は 1 年以上にわたり定期的 な食事記録を行っている人々であり、レコーディングダイエットの効果は科学的にも認めら れている。そのため、対象者においては食事のコントロールがきちんとなされている可能性 が高く、定期的な食事記録を行っている人々は、外出自粛下においても摂取カロリーが 大きく増減することがなかったと考えられた。
まとめ
2019年と2020年のゴールデンウィーク中の活動量(歩数)、および摂取カロリーの状況 について検討を行った。FiNC アプリを用いて定期的なライフログの記録を行っているユーザーは、新型コロナウィルス感染症のための外出自粛により、歩数の減少はみられたが、摂取カロリーの増減は少なかった。
以上