Interview

New Normal時代のデジタル・ウェルネスの取組み

ファイザー株式会社

FiNCでは、ファイザー株式会社とファイザー健康保険組合が進めるウェアラブルデバイスや体組成計などのIoTを活用したデジタル・ウェルネス・パイロット プログラムに、FiNCアプリ/FiNC健康チャレンジプログラムを提供いたしました。デジタル・ウェルネス・パイロットプログラムへの取組みやFiNCの導入理由、今後の展望を伺いました。

【デジタル・ウェルネス・パイロットプログラム実施概要】

■実施期間:2020年8月17日~2020年12月26日
■参加者:プログラムの趣旨に賛同した社員533人
■実施方法:株式会社Fitbitのウェアラブルデバイスと、株式会社FiNC Technologiesの体組成計を配布し、同社提供の法人向けサービス「FiNC for BUSINESS」を、FiNCアプリを通じて4ヶ月間配信。パイロットプログラム開始時から2か月間に社員の活動から得られたリアルワールドデータ※1の他、
パイロットプログラム前後の健康指標、および参加者アンケートを分析・評価

※1 レセプトデータや電子カルテデータ、DPCデータ等、臨床現場で得られる診療行為に基づく匿名化された医療ビッグデータ

小川 佳政

常務理事

健康保険組合名:ファイザー健康保険組合

URL:http://www.pfizer-kenpo.or.jp/

長谷川 亜紀子

統括産業医

荒川 克利

マーテックエクセレンス &
イノベーションハブ部 担当課長

社名:ファイザー株式会社

事業内容:医療用医薬品の製造・販売・輸出入

URL:https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/corporate_outline/index.html

デジタル・ウェルネス・パイロットプログラム
(以下、パイロットプログラム)の取組みが決まった 背景や目的を教えてください。

小川:会社と健康保険組合は、過去からコラボヘルスを実践してまいりましたが、一番の成功事例は禁煙への取組みでした。10年以上前から喫煙者ゼロを目標にし、昨年にはついに喫煙率1%まで下げることができました。

一方で、循環器や代謝性疾患などの生活習慣病に関してはあまり大きな改善がなく、潜在的なリスクを負っている社員が非常に多いという課題が顕在化したため、昨今のデジタルデバイスやリアルワールドデータ(以下、RWD)活用の進展を踏まえ施策を設計していました。その過程で、新型コロナウイルスの感染が広がってきたため、方向性を軌道修正し、コロナ禍でいかにデジタルを使って従業員の健康維持増進を図っていくか、ということでこのパイロットプログラムに取組むこととなりました。

長谷川:過去に社内で禁煙に取組んだ際に、社員の健康意識を向上させるためには、全社で目標に取組むことが重要であることを学びました。従来は健康保険組合とウェルネスセンターが中心となって健康増進活動を行っていましたが、対象者が一部の社員に限定されていました。禁煙などの全社を対象にした活動では、我々の部門だけでは十分な取組みが難しく、全社の各部門の協力が必要だったのです。そんな中、コロナ禍で働き方や生活が大きく変わったため、我々がやるべきことが明確になり、全社で各部門と協働しながら取組みを加速していくことができました。

全社で健康増進に取組むことのメリット、
ポイントは何ですか。

小川:健康管理に携わる部門のみで取組むと、どうしても偏った考え方になってしまい、十分な効果が出ないということになりがちだと思います。そこに各部門の専門性の高い方や代表者が参加することで、社員が置かれている状況を細かく把握しながら、より効果的な打ち手を臨機応変に出すことができます。今回、色々な参加者の知恵が入ることで、ユニークで効果的な取り組みができ、プロジェクトが成功したのではないかと感じています。

長谷川:今回の取組みのポイントは、プライバシ―を担保した上で、健康診断結果などの定量的なデータをもとに従業員の状態や課題を分析・把握し、会社として優先順位の高い対策を新しいデバイスやアプリを導入して講じたことだと思います。

経営トップの健康への意識や考え方も重要
でしょうか。

小川:はい、それはとても重要です。禁煙に取組む際にも、経営トップから「喫煙者をゼロにする」という話しが出たのですが、最初は嗜好品であるタバコについて、会社が禁煙を強制することもできないし無理だと思ったのが正直なところです。ただ、経営トップが“絶対にやるんだ”という強い意志を持ってメッセージを発信し、トップダウンで取組んでいったことが大きな成功に繋がったのだと思います。

長谷川:経営トップから高い目標、意識を表明してもらうことが重要で、現場の立場からでは出てこない大きな目標や予想外の数字が出てくることがポイントです。現場の産業保健スタッフの立場であれば、喫煙率を下げることは目標にしますが、ゼロにするという考えには至らないと思います。一方で経営トップから会社として大きな目標へ向かって行くぞという表明があると、我々の考え方やマインドが変わり、その結果各部門との連携など活動の幅が広がることで、仕事に対する取り組みのモチベーションも上がると感じます。

今回のパイロットプログラムにあたり、具体的に原田社長からはどのような発信がありましたか。

小川:昨年から続く、新型コロナウイルスの感染拡大にあたり、会社として感染防止に非常に注力しており、早い段階から本社勤務の社員を中心に原則在宅勤務としていました。また外勤社員に関しても業績面よりも、日々最前線で感染拡大と戦っておられる医療関係者にご迷惑をかけてはいけないということから、完全に外勤活動を自粛する体制に切り替えました。その体制を前提に業務ができるよう会社から各種リソースの提供や、ルール・業務プロセスの変更を行うことで、出社を最小限にするよう取組んできました。具体的には、部門単位で出社の上限を設けてかなり厳しくやってきました。

そういった状況下において原田からは、心身ともに健康であることの重要性をかなり強く発信してきました。普段は顧客や患者を健康にするための業務にあたっていますが、従業員やその家族まで含めて健康であることが大事であり、それらの健康が前提でなければ日々の業務にも前向きに取組んでいけない、そのようなことを様々な会議やウェブメディアを通じてメッセージを出していました。
またそのメッセージに対して今回のパイロットプログラムが非常にマッチしており、取組みが進んだということがありました。

パイロットプログラムで目指した成果は何ですか。

小川:中長期的なアウトカムとしては、健康保険組合の立場だと医療費の抑制、また会社の立場だと社員の健康が増進され、イキイキと能力を最大限に発揮するなどが挙げられます。本来であれば健診結果にまで成果が現れてくれば良いのですが、パイロットプログラムは数ヶ月の短期間のためアウトカムが限られており、現実的には社員の運動習慣の定着や食習慣の改善などに意識が向くなど、生活習慣の改善のきっかけになれば良いと考えておりました。 やはり社員に健康行動を強制するのは難しく、強制しても長続きはしないので、我々ができることは、きっかけを与えることによって参加した社員が運動習慣を高めたり、食生活を変えたりすることによってこんな良いことがあった、ということを実感してもらうことだと思います。

パイロットプログラムの検討プロセスとFiNCを選定した理由を教えてください。

荒川:私の部署はマーケティングに新しいデジタルテクノロジーを導入することや、ファイザーのオープンイノベーションを推進する役割を担っています。このプログラムに関してはデジタルやテクノロジーを全面に活用した全社展開を目指したパイロットのプロジェクトマネージャーとして参画していました。
まず我々が目指したこととして、以下の5つがあります。

①社員の健康維持
②参加率の担保
③継続率・完遂率の担保
④結果を分析するためのデジタルの仕組み構築
⑤結果の改善状況

これらを実現できるパートナーを探し多くの比較検討を進める中で、歩数の軸でアプローチするサービスは多くあったのですが、FiNCアプリは体重や食事、インタラクティブなコミュニケーションを1つのアプリで実現できる点に非常に魅力を感じました。
加えて、今回のパイロットプログラムを推進する上でパートナーの体制やノウハウは非常に重要と考えており、FiNCは我々がこういったことをやりたいという要望をそのまま再現するだけではなく、持っている知見をぶつけてきてくれて一緒に良いものを作っていくという感覚をディスカッションの最初から感じられたと思っています。単純な発注者と受注者の関係ではなく、パートナーとして一緒に「共走」できるという観点で選定させていただきました。

小川:他社ですと運動・食事、睡眠などに特化したサービスもあり、正直に申し上げてそれぞれの領域ではFiNCよりも細かく、良いものを提供している会社もありました。例えばハイリスクアプローチのように特定の課題に対応するのであれば、特化したサービスを選定することもあり得たと思いますが、今回はポピュレーションアプローチとして状況が異なる様々な社員に対して提供できるサービスを探しており、その点でFiNCは特定の領域のみに特化し過ぎず、最もバランスが良かったです。

長谷川:アプリ自体の使いやすさは非常に重要だと考えています。FiNCのアプリは、使いやすさに加え、自分でも実際にトライアルで使ってみて、これならば参加者の1人として使ってみたいと思った内容でした。この点は、プロジェクトチームでも多く上がったと印象を持っています。

パイロットプログラムを進める上で留意した
ポイントはありますか。

荒川:私のミッションの一つに、いかに多くの社員に参加してもらい、継続してもらえるかということがありました。その観点から、参加者がこのプログラムを通じて楽しめる要素を取り入れて社内のコミュニケーションプラットフォームに掲載したり、社員同士が励まし合いながら継続できるような仕掛けについてチームで相談しながら進めたりしてきました。

小川:健康データはセンシティブなものですので、データの取り扱いには非常に気を配り、プロジェクトメンバーでも、参加者を特定できないような配慮を行いました。加えて、我々プロジェクトメンバー自身が先んじて取組んでみることで、参加者がつまずくポイントや、どのような気持ちになるかを体感した上で、社内コミュニケーションの内容を決めていきました。また、このコミュニケーションも一度行って終わりにするのではなく、状況を見ながら、こまめに追加のコミュニケーションを取ることで参加者が置き去りにされずに、常に自分が参加している雰囲気を感じてもらえるように継続して取組みました。例えば社内のネット掲示板でプロジェクトメンバーが積極的に情報発信をし、パイロットプログラムの進捗などを参加者とやり取りしていました。

長谷川:私はできる限り多くのデータをきちんと収集することが目標のひとつだったため、参加者にアプリへの記録を促すことや、パイロットの終了まで脱落者を出さずに一人でも多くの方に最後まで頑張って取組んでもらうことを意識していました。継続率を維持するためには、センシティブなデータは保護されているという安心感を持ってプロジェクトに参加してもらうことが大事であると考えたため、データの収集・閲覧を行う立場の者が前に出すぎないよう注意を払いました。

プロジェクトの推進体制や進め方を教えてください。

荒川:プロジェクトチーム立ち上げの初期段階で、健康保険組合・産業医・情報システム・法務部門など、それぞれの役割分担を決めたことがポイントだったと思います。また専門性があるメンバーが集まっているので、それぞれの強みを活かしつつ、推進することができました。例えば産業医の長谷川医師からはドクターとしての視点でのアンケート作成や分析軸の助言があり、小川からは健康保険組合の立場で健康指導に対して行動変容を促す経験則や言葉選びなどの提案がありました。

今回得られたRWDと健診結果との分析結果はどうでしたか。また今後公表の予定はありますか。

荒川:今回の分析結果の概要はプレスリリース※2をご参照いただければと思いますが、今回は健診データとの関連性の分析は新型コロナウイルスなどの外的要因が大きいこともあり見送ることにしました。将来的には治療や未病に関しても見られるような可能性を感じていますが、現状は未定です。

※2 ニューノーマルに向けた当社のデジタル・ウェルネス・パイロットプログラム
~約500名の社員参加により、在宅勤務下での健康維持および増進を示唆~
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2021/2021_04_02.html

小川:パイロットプログラムでは、コロナ禍で運動ができない状況にも関わらず、歩数を維持できた、睡眠の質が変わった、腰や肩の痛みが軽減されたなど具体的な効果がでてきております。実施後に行ったアンケート結果では、多くの社員がプログラム終了後も、何らかの生活習慣の改善を続けています。

パイロットプログラムについての経営層の評価は いかがですか。

小川:今回の分析結果によって、高い参加率を維持しコロナ禍でも社員の運動量を維持するポイントを、FiNCアプリを通じて把握することができました。そのため、経営層は社員の健康をサポートする取組みとして今回のパイロットプログラムを高く評価をしています。さらに本プログラムは533人のパイロットプログラムの対象者だけではなく、全社に展開する価値があるという判断をし、健康の意識を高めていくことで企業価値を高めていくことに繋がることを期待していると聞いています。

パイロットプログラムからの示唆と、今後の全社展開に期待することは何ですか。

荒川:ファイザーとFiNCという全く異業種の企業同士が新しいことを始めることで、面白いことがどんどん生まれてくるのを実感し非常に楽しい時間を過ごせました。全社展開で対象者を広げ長期間の取組みとなった際に、どれぐらいの社員が参加するのか、どうやって取組みをブーストして行くのかということがテーマになると思います。今後も長田さん、赤羽さんには特に継続して取り組める仕組み作りについて、引き続きサポートいただければ考えております。

長谷川:これまで健康データというと年1回の健康診断のみでしたが、それに加えてウェアラブルなどによる日々の客観的なデータをもとに自身の健康状態を把握することは、非常に有効な健康管理の手段であり、これから主流になっていくのではないかと感じています。引続き、リモート環境での生活や仕事が続くと思いますので、ニューノーマル下で健康を維持・増進していくために、客観的に自身の健康データをチェックしたり、チームでつながりながら一緒に取組むことは効果的な健康管理になると思います。例えば、私の場合はFiNCアプリ内の社内歩数ランキングが面白く毎日チェックしています。社内の誰が何歩歩いたということが見えると横の繋がりを感じ、この人はいつもこんなに歩いているんだなと、良い刺激をもらえることはFiNCアプリを使ってプラスになった点だと思います。

小川:世の中で健康の大切さを否定する人はおらず、誰でも健康は大切だと考えていると思います。ただ仕事などで忙しかったりすると健康に取り組む優先順位は下がってしまいます。今回、新型コロナウイルスの感染拡大によって、健康の大切さにあらためて気がついた方も多いのではないでしょうか。だからこそこのタイミングで会社や健康保険組合からメッセージを出し、健康に意識を向けるためのサポートをする良い機会かと思っています。今後の全社展開が、中長期的なアウトカムの達成に繋がれば一番良いのですが、あまり大きなことを考えず、社員が同僚と一緒に楽しく健康に意識を向けられるようなプログラムにしたいと思っています。

株式会社FiNC Technologies

について

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FiNCアプリ/FiNC健康チャレンジプログラム

『FiNC for BUSINESS』とは

New Normal時代においては、従業員の健康管理の重要性が増しております。従前、健康経営に取り組んでいた企業以外でも、新たな課題として、「新型コロナウイルスへの感染予防」「健康不調による欠勤・遅刻・早退による損失防止」「リモートワークなどによる肩こりや腰痛などのプレゼンティーイズムの解消」のお声を伺います。
当社は、このような課題に対して、従前のFiNC for BUSINESSに新しいプランを加えて提供し、顧客課題にあわせたデジタルトランスフォーメーションの実現で従業員の「体験」を変容させ、従業員の健康維持・増進、増進推進担当者の業務負担軽減に寄与することが可能です。

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